【2025年】事業承継・M&A補助金をわかりやすく解説

中小企業や小規模事業者が事業承継やM&Aを行う際の経費の一部を補助し、日本経済の活性化を目指す「事業承継・M&A補助金」。
今回は、11次公募「専門家活用枠」を中心に、全国1万社以上の補助金申請サポート実績を誇るJSaaSが、補助金の概要・対象経費・申請のポイントなどをわかりやすく解説します!
ー目次ー
1.事業承継・引継ぎ補助金とは?
「事業承継・引継ぎ補助金」は、「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金」の一部であり、特に専門家活用枠として位置づけられています。
この補助金の目的は、中小企業者等(中小企業者及び個人事業主を総称)が事業承継、事業再編、事業統合を契機として行う取り組みに必要な経費の一部を補助することにより、これらの事業を促進し、我が国経済の活性化を図ることで、以下の2つの類型があります。
- 買い手支援類型(Ⅰ型)
- 売り手支援類型(Ⅱ型)
申請対象事業者は?
以下の要件等満たし、かつ後述する補助対象となる事業及びM&Aの要件を満たす最終契約書の契約当事者(予定含む)たる中小企業者等です。
- 日本国内に拠点又は居住地を置き、日本国内で事業を営む者であること
- 個人事業主の場合、「個人事業の開業届出書」並びに「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出した日付から5年が経過しており、税務署に提出した確定申告書Bと所得税青色申告決算書の写しを提出できること
- 法人の場合、申請時点で設立登記および3期分の決算及び申告が完了していること
- 補助対象者又はその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。また、反社会的勢力との関係を有しないこと
- 法令遵守上の問題を抱えていないこと など…
ただし、売り手支援類型(Ⅱ型)の株式譲渡に関しては、以下の要件を満たし、かつ所定のM&Aの要件を満たす株式譲渡に伴い移動する株式を発行している中小企業(対象会社)及び対象会社と共同申請した対象会社の議決権の過半数を有する株主(支配株主)または株主代表とされています
【対象となる中小企業者等】
中小企業基本法第2条に準じて、以下のいずれかの定義を満たす会社及び個人事業主が本補助金における中小企業者等として定義されます
- 製造業その他(ゴム製品製造業(一部を除く)は除く): 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社、又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主
- ゴム製品製造業(一部を除く): 資本金3億円以下又は従業員900人以下
- 卸売業: 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社、又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
- 小売業: 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社、又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主
- サービス業(ソフトウェア業・情報処理サービス業、旅館業は除く): 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社、又は常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主
- ソフトウェア業・情報処理サービス業: 資本金3億円以下又は従業員300人以下
- 旅館業: 資本金5千万円以下又は従業員200人以下
ただし、資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接に100%の株式を保有される法人や、直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小企業者等、対象外となる条件も設定されているため、注意が必要です。
受給までの流れは?
事業承継・引継ぎ補助金には3種類の申請枠があり、それぞれ受給までの流れに違いがあります。
認定経営革新等支援機関※1での支援やgBizIDプライムの取得※2などの様々な必要条件をクリアした後、事業承継・引継ぎ補助金事務局へ申請し、採択結果を待ちます。採択が確定し、補助金が交付された後にも報告義務があります。
※1認定経営革新支援機関…中小企業等経営強化法により、中小企業に対して高い専門性の支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度により認定された機関のことです。 認定経営革新等支援機関一覧
※2gBizIDプライム…補助金の電子申請システムを利用する為に会社代表・個人事業主の方は「gBizIDプライム」のアカウント取得をする必要があります。アカウントの発行には1〜2週間程度かかるため、早めの準備が必要です。 gBizID
2.【申請枠種類別】対象経費と金額は?
事業承継・引継ぎ補助金には3つの種類があります。
①買い手支援類型(Ⅰ型)
②売り手支援類型(Ⅱ型)
それぞれの申請枠によって対象経費や補助金額・補助率が異なりますが、共通して事業承継・引継ぎ補助金事務局が必要かつ適切と認められた経費であることや、以下の条件をクリアする必要があります。
- 使用目的が明確に特定できること
- 補助事業期間内での契約・発注による経費であること
- 補助事業完了後の実績報告内容に不備がないこと
また、補助金の交付は事業完了後の後払いとなるため、まずは資金を自己調達する必要があります。
①買い手支援類型(Ⅰ型)
中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金の専門家活用枠「買い手支援類型(Ⅰ型)」は、事業再編・事業統合に伴い、株式や経営資源を譲り受ける予定の中小企業等を支援する類型です。
■対象経費
補助対象事業を実施するために必要となる経費のうち、以下の要件を満たし、かつ事務局が必要かつ適切と認めたものが補助対象経費となります。
<事業費の対象経費>
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
- システム利用料
- 保険料
- 廃業費
■補助額
補助上限額は、原則として600万円以内で、補助対象経費の3分の2以内です。以下の費用については上乗せ額が設定されています。
- デュー・ディリジェンスに係る費用: +200万円以内
- 廃業費: +150万円以内
②売り手支援類型(Ⅱ型)
中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A補助金の専門家活用枠「売り手支援類型(Ⅱ型)」は、売り手支援類型(Ⅱ型)譲り渡す予定の中小企業等を支援する類型です。
■対象経費
不動産売買のみの引継ぎは対象外になるため、注意が必要です。
<事業費の対象経費>
- 謝金
- 旅費
- 外注費
- 委託費
- 保険料
- システム利用料
- 廃業費 など
■補助額
補助上限額は、原則として600万円以内で、補助対象経費の3分の2以内(物価高等の影響により、営業利益率が低下している者・直近決算期の営業利益または経常利益が赤字の者)または、2分の1以内です。
以下の費用については上乗せ額が設定されています。
- デュー・ディリジェンスに係る費用: +200万円以内
- 廃業費: +150万円以内
なお、補助事業期間内に経営資源の引継ぎが実現しなかった場合(クロージングしなかった場合)、補助上限額が300万円以内に変更されます。
3.事業承継・引継ぎ補助金の採択率
8次公募の採択率は、経営革新事業が60.1%・専門家活用事業が約61.2%、廃業・再チャレンジ事業では1件の単独申請と22件の併用申請があり、うち12件を交付決定となっています。
4.事業承継・引継ぎ補助金の活用事例
ここからは、補助金の活用事例をご紹介します。様々な業種の方々が事業承継・引継ぎ補助金を活用することによって、再生の可能性がある事業の再構築や、雇用確保、伝統の継承など多くのことを実現しています。
引用:事例集|事業承継・引継ぎ補助金事務局
■経営革新事業×創業支援型:事業譲渡で従業員の雇用を継続
3つの製造事業を営んでいた製造業者は、方向転換に伴い3つのうち2つの製造を廃止することになりました。
廃止する事業内容を従業員に承継・新会社を設立し、新規顧客の製品規格及び要求品質に対応するための設備費用の一部の補助金を受給することができました。
■専門家活用事業×売り手支援型:株式譲渡で老舗の味を守る
老舗菓子店では、地域から愛されているお店の継続のために株式譲渡を行い、仲介とのアドバイザリー契約に基づき支払う成功報酬の一部を補助金として受給しました。
補助金の活用で引き続き営業を継続し、雇用と伝統の維持を実現することができました。
5.まずは無料相談!
事業承継・引継ぎ補助金の受給条件は、事業承継・引継ぎ補助金事務局によって細かく定められており、採択率は約半数と、申請の難易度は決して低いものではありません。
事業の承継や引継ぎ、廃業という大きな節目のタイミングで、多くの業務を抱えている経営者さまの負担軽減のためにも専門家の力を借りることを検討してみてはいかがでしょうか。
JSaaSでは、これまで全国各地、1万社以上の事業者様の申請支援を行ってきており、2022年4月以降の累計申請金額は288億円を超えています。申請に関して何かお困りごとがございましたら、まずは無料相談からお気軽にご依頼ください。
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