企業向け|省エネ補助金ガイド!2024年の申請方法から成功事例まで
「省エネ補助金」は、設備更新やエネルギー効率化を図るための強力な支援策です。
本記事では、2024年8月時点での企業向け省エネ補助金の動向をもとに、申請方法や対象設備、条件や注意点をまとめています。
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ー目次ー
1. 【2024年8月更新】省エネ補助金とは?
省エネ補助金は、エネルギー効率の高い設備を導入する際にその費用の一部を補助する制度です。
この補助金の目的は、エネルギーコストの削減と環境への貢献を促進することにあり、2024年8月30日まで、省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(Ⅰ、Ⅱ、Ⅳ事業)の第三次公募が行われています。
大きく分けて、工場や事業場全体のエネルギー効率を向上させる設備更新や、電化・脱炭素を目的とした燃転を伴う設備更新など、規模の大きなプロジェクトを支援する「事業場型」と、照明や空調など汎用的な設備更新に対する「設備単位型」の2種類があります。
【2023年4月施行】改正省エネ法とは?
2023年に施行された改正省エネ法により、一定規模以上のエネルギーを使用する事業者(工場や事業場、運輸事業者など)は以下の対応が求められるようになりました。
🔵エネルギーの合理化義務
これまでは化石燃料に限定されていた省エネ法の対象が、非化石エネルギーも含むように拡大されました。事業者は、太陽光や風力、水素などの非化石エネルギーを活用し、その使用状況を合理化する必要があります。
また、非化石エネルギーの利用促進のために、中長期計画の策定と定期的な実績報告が義務化されました。
🔵非化石エネルギーへの転換計画
すべての事業者は、非化石エネルギーの使用比率を増加させるための計画を策定し、定期的に国に報告しなければなりません。
特に、エネルギー消費量の多い業種(例:鉄鋼業、化学工業など)は、具体的な目標を設定し、その進捗を報告する必要があります。
🔵電力需要の最適化(デマンドレスポンス)
再生可能エネルギーの導入が進む中で、電力の需給バランスを維持するため、電力使用を柔軟に調整するデマンドレスポンス(DR)が求められます。
事業者は、電力需給が逼迫した際に使用量を削減したり、再生可能エネルギーが余剰の際に消費を増やしたりするなどの対応を行い、その実績を報告する必要があります。
補助金を利用するメリット
補助金を活用することで得られるメリットは、以下のようなものがあります。
✅コスト削減:設備導入時の初期費用を補助金で補うことで、企業の負担を軽減し、資金を他の重要な分野に割り当てることがでる
✅環境貢献:省エネ設備や再生可能エネルギー設備の導入によって、エネルギー効率を向上させ、二酸化炭素排出量の削減に寄与できる
✅競争力の向上:省エネ設備の導入によるエネルギーコストの削減は、事業の競争力強化につながり、長期的な収益改善が期待できる
✅最新技術の導入:補助金を利用することで、最新の省エネ技術や環境対応型設備を導入しやすくなり、企業の技術的な向上が図れる
✅企業イメージの向上:環境負荷低減の取り組みは、消費者や取引先からの評価を高め、企業イメージを向上させる
補助金を上手に活用することで、企業はコスト削減や環境貢献だけでなく、事業の成長と持続可能な経営を同時に実現することが可能です。
2. 【2024】省エネ補助金の補助率・補助額・対象事業者&設備
ここからは、省エネルギー補助金「事業場型」と「設備単位型」ごとの対象事業者・補助率・補助額について詳しく解説します!最新情報は公式HPをご確認下さい
工場・事業場型
先進設備や、工場や事業場全体で、機器設計が伴う設備または事業者の使用目的や用途に合わせて設計・製造する設備等の、 導入を支援する申請枠で、先進設備・システムの導入または、オーダーメイド型設備の導入が対象です。
ⓐ先進設備・システムの導入
【対象事業者】申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業
①省エネ率+非化石割合増加率:30%以上
②省エネ量+非化石使用量:1,000kl以上
③エネルギー消費原単位改善率:15%以上
・複数の対象設備を組み合わせて申請する場合、各設備の省エネ効果の合算値で上記要件を満たすこと
※非化石転換の場合も増エネ設備となる事業は対象外
【補助対象経費】設計費・設備費・工事費
【補助率】
・中小企業者等→2/3以内
・大企業、その他→1/2以内
【補助金限度額】※()内は非化石申請時
【上限額】15億円/年度(20億円/年度)
【下限額】100万円/年度
複数年度事業の1事業当たりの上限額は30億円(40億円)
連携事業の上限額は30億円(40億円)
ⓑオーダーメイド型設備の導入
【対象事業者】申請単位において、原油換算量ベースで、以下いずれかの要件を満たす事業
①省エネ率+非化石割合増加率:10%以上
②省エネ量+非化石使用量:700kl以上
③エネルギー消費原単位改善率:7%以上
複数の対象設備を組み合わせて申請する場合、各設備の省エネ効果の合算値で上記要件を満たすこと
非化石転換の場合も増エネ設備となる事業は対象外
【補助対象経費】設計費・設備費・工事費
【補助率】
①中小企業者等→1/2以内(投資回収年数7年未満の事業は1/3以内)
②大企業、その他→1/3以内(投資回収年数7年未満の事業は1/4以内)
【補助金限度額】※()内は非化石申請時
【上限額】15億円/年度(20億円/年度)
【下限額】100万円/年度
複数年度事業の1事業当たりの上限額は20億円(30億円)
連携事業の上限額は30億円(40億円)
電化・脱炭素燃転型
化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入を支援する申請枠です。指定設備(産業・業務用ヒートポンプ、給湯器、低炭素工業炉、高効率コージェネレーション、高性能ボイラ)を導入する事業者が対象となります。
【対象事業者】指定設備のうち電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入電化・脱炭素目的の燃料転換を伴う事業者
【補助対象経費】設備費(電化の場合は付帯設備も対象)
対象設備は、定められたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した以下の指定設備。
①産業ヒートポンプ
②業務用ヒートポンプ給湯器
③低炭素工業炉
④高効率コージェネレーション
⑤高性能ボイラ
上記に該当しない「その他SIIが認めた高性能な設備」のうち、電化・脱炭素燃転に資するとして指定した設備も対象となる。
(ヒートポンプで対応できる低温域は電化のみ)
【補助率】
1/2以内
【補助金限度額】※()内は電化の場合
【上限額】3億円/事業全体(5億円/事業全体)
【下限額】30万円/事業全体
複数年度事業の1事業当たりの上限額は3億円(5億円)
エネルギー需要最適化型
SIIに登録されたエネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、 SIIに登録されたEMSを用いて、より効果的に省エネルギー化及びエネルギー需要最適化を図る事業です。
【対象事業者】申請単位で、「EMSの制御効果と省エネ診断等による運用改善効果」により、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上を満たす事業
【補助対象経費】設計費・設備費・工事費
【補助率】
①中小企業者等→1/2以内
②大企業、その他→1/3以内
【補助金限度額】
【上限額】1億円/事業全体
【下限額】100万円/事業全体
複数年度事業の1事業当たりの上限額は1億円
設備単位型
2024年7月1日に終了した2次公募の概要は以下の通りです。
【対象事業者】SIIが予め定めたエネルギー消費効率等の基準を満たし、補助対象設備として登録及び公表した指定設備へ更新する事業
【補助対象経費】
ユーティリティ設備
①高効率空調
②産業ヒートポンプ
③業務用給湯器
④高性能ボイラ
⑤高効率コージェネレーション
⑥低炭素工業炉
⑦変圧器
⑧冷凍冷蔵設備
⑨産業用モータ
⑩制御機能付きLED照明器具
生産設備
⑪工作機械
⑫プラスチック加工機械
⑬プレス機械
⑭印刷機械
⑮ダイカストマシン
上記に該当しない 「その他SIIが認めた高性能な設備」 として指定した設備も対象となる。
【補助率】
1/3以内
【補助金限度額】
【上限額】1億円/事業全体
【下限額】30万円/事業全体
3. 省エネ補助金の申請の流れと準備
省エネ補助金の申請手順は、大まかに以下のような流れで進みます。
①交付申請書類の提出
②交付決定
③中間報告書の提出
④実績報告書の提出
⑤補助金の受領
⑥成果報告書の提出
交付申請には以下のような準備・手順が必要なので、チェックしましょう。
- 申請に必要な補助事業ポータルのアカウントを登録する
- 公募要領、手引き等を確認する
- 更新する設備・エネマネ事業者を選定する
- 見積を取得する(3者)
- 交付申請に必要な書類を収集・作成する
- 年間エネルギー量を算出する
- 補助事業ポータルの入力を行い、書類を印刷する
- 書類をファイリングして、郵送する
4. 省エネ補助金を活用した成功事例
省エネ補助金を活用するとどのような効果があるのでしょうか。具体例を見てみましょう。
工場での設備更新による効果
ある製造業の工場では、補助金を活用して老朽化したボイラーを高効率なものに更新しました。この設備更新により、エネルギー使用量を30%削減し、年間の運用コストが大幅に減少しました。また、省エネ効果だけでなく、CO2排出量も削減され、企業の環境対応力が強化されました。この事例では、補助金を利用することで、企業が負担する初期費用を抑えつつ、長期的な経費削減と環境貢献を同時に実現しています。
小規模企業での補助金活用事例
小規模企業の事例では、省エネ補助金を活用してLED照明を導入しました。古い蛍光灯からLEDに切り替えることで、電力使用量を20%削減し、年間の電気代が顕著に減少しました。また、補助金を受けることで、導入コストを約半分に抑えることができました。このように、小規模企業でも省エネ補助金を活用することで、少ない投資で大きな効果を得ることが可能です。
5. よくある質問
Q.省エネ補助金の申請は誰でもできるの?
A.基本的には、中小企業や個人事業主など、エネルギー効率向上を目指す事業者であれば、誰でも省エネ補助金の申請が可能です。ただし、補助金ごとに対象となる事業規模や設備が異なるため、各補助金の公募要件を確認し、自社が条件を満たしているかどうかを確認する必要があります。
Q.どの設備が補助対象になるの?
A.補助対象となる設備は、省エネ効果が見込まれるもので、エネルギー効率を向上させる設備が中心です。例えば、高効率な空調設備やボイラー、LED照明、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、再生可能エネルギーの利用設備(太陽光発電システムなど)が該当します。具体的な対象設備は補助金の種類によって異なるため、詳細は公募要項で確認しましょう。
Q.補助金の採択率を上げる方法は?
A.補助金の採択率を上げるためには、以下のポイントに注意しましょう。
★省エネ効果の明確化:導入予定の設備がどれだけエネルギー効率を向上させるか、具体的な数値を提示することが求められます。
★申請書類の正確性:必要書類に不備がないか、事前にしっかりと確認することが大切です。不備があると、審査に通らない可能性があります。
★専門家の活用:補助金申請のプロに依頼することで、採択率が向上するケースもあります。専門家は、適切な申請書類の作成や、事前審査への対応をサポートしてくれます。