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【2024】配偶者控除の見直し案が検討中|企業にとってのメリットは?

【2024】配偶者控除の見直し案が検討中|企業にとってのメリットは?

更新日 2024.09.02

専業主婦(夫)を持つ家庭の税負担を軽減する「配偶者控除」の制度見直しが進められています。

この記事では、配偶者控除の基本的な概要から、見直しがどのように進められているのか、そして個人事業主やパート従業員に与える影響について詳しく解説します。

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1. 配偶者控除とは?現行の制度概要(2024年)

配偶者控除は、納税者が所得税および住民税を計算する際に、一定の条件を満たす配偶者がいる場合に適用される税額控除の制度です。この制度は、主に専業主婦(夫)や収入が少ない配偶者を持つ世帯の税負担を軽減する目的で設けられています。

  • 配偶者の年間所得が48万円以下であること

配偶者が給与所得者の場合、給与所得控除後の所得が48万円以下、つまり年収133万円以下であれば配偶者控除が適用されます。

  • 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であること

配偶者控除を受けるためには、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えないことが要件です。

配偶者控除の額は、納税者の合計所得金額と配偶者の年齢に応じて次のように設定されています。

  • 納税者の合計所得金額が900万円以下の場合

配偶者控除額は38万円(配偶者が70歳以上の場合は48万円)です。

  • 納税者の合計所得金額が900万円を超え950万円以下の場合

配偶者控除額は26万円(配偶者が70歳以上の場合は32万円)です。

  • 納税者の合計所得金額が950万円を超え1,000万円以下の場合

配偶者控除額は13万円(配偶者が70歳以上の場合は16万円)です。

 

2. なぜ配偶者控除の見直しが必要とされているのか?

配偶者控除は1961年から開始されましたが、時代と共に変化する家族の形に対応する為、平成29年度税制改正で控除額や扶養親族等の数の算定方法の変更などの改正が行われ、2024年5月に開かれた岸田文雄首相の諮問機関「政府税制調査会」で「配偶者控除」の見直しを求める声が相次いだことが話題となりました。

配偶者控除の見直しが必要とされる理由は、現在の税制が働き方の多様化に十分に対応していないことにあります。

特に、共働き家庭の増加や、女性の社会進出が進む中で、専業主婦(夫)を優遇する制度が不公平感を生んでいるとの指摘があります。

また、配偶者控除があることで、配偶者が一定の収入範囲に収めようとする「年収の壁」が生じ、労働意欲を抑制する結果となっている点も見直しの一因です。これらの課題を解決するため、より多様な働き方に対応した新たな制度が求められています。

 

配偶者控除見直しで期待できる企業へのメリット

配偶者控除が見直されることで、人材不足の解消や生産性向上などの効果が期待されています。

  • 労働力の安定供給
    配偶者控除の見直しにより、従業員が年収の壁を気にせずフルタイムで働く選択がしやすくなるため、企業の労働力が安定し、人手不足の解消に寄与する可能性があります。

  • 生産性の向上
    労働意欲が向上し、就業時間が増加することで、企業全体の生産性が向上することが期待されます。

  • 求人コストの削減
    労働力の確保が容易になることで、求人活動にかかるコストを削減できる可能性があります。

  • 従業員の多様な働き方への対応
    従業員がフルタイムや副業を選択しやすくなることで、企業は多様な働き方をサポートする体制を強化し、働き方改革を推進することができます。

配偶者控除見直しへの反対意見

配偶者控除見直しへの反対・懸念の意見も見られます。

  • 家庭の経済的負担が増加するのでは?
    配偶者控除の見直しにより、控除額が減少することで、特に専業主婦(夫)やパートタイムで働く配偶者を持つ世帯の税負担が増加する可能性

  • 共働き世帯への負担増につながるのでは?
    配偶者控除の縮小や廃止により、共働き世帯の税負担が増えることが懸念されています。特に低所得の共働き世帯にとっては、家計の収支に大きな影響を与える可能性

  • 働き方の選択肢が狭まるのでは?
    配偶者控除がなくなることで、配偶者がフルタイムで働くことを選択せざるを得なくなり、家庭での役割分担や育児・介護の時間が減少するリスクがある

  • 少子化対策に逆行する可能性
    配偶者控除の見直しが、専業主婦(夫)を持つ家庭の経済的支援を弱めることで、育児の負担が増加し、結果として少子化対策に逆行する可能性があると懸念されています。

  • 高齢者家庭に不利な影響が出るのでは?
    高齢者の配偶者を持つ家庭にとって、控除額の減少や廃止は、生活費の捻出に困難をもたらす可能性がある

 

3. 年収の壁とは?103万、150万、201万の壁の詳細解説

年収の「壁」とは、配偶者控除や社会保険の適用に影響を与える収入基準を指します。これらの基準を超えると、控除の対象外となる場合があります。

103万円の壁とは?

103万円の壁とは、配偶者の年収が103万円を超えると配偶者控除が適用されなくなる基準を指します。

この壁は、主に配偶者がパートタイムで働く家庭に影響します。具体的には、配偶者が給与所得者であり、その年収が103万円を超えると、所得税の配偶者控除(38万円の控除)が適用されなくなります。

これにより、納税者(主に夫または妻)の所得から控除される金額が減少し、結果として家計全体の税負担が増加することになります。また、配偶者自身も所得税の納税義務が発生するため、さらに家計の負担が増えることが懸念されます。多くの家庭では、この103万円の壁を意識して、配偶者が働く時間を調整することが一般的です。

 

150万円の壁と配偶者特別控除

150万円の壁は、配偶者特別控除が適用される収入の上限を指します。配偶者の年収が103万円を超えても、150万円以下であれば、配偶者特別控除が適用され、段階的に控除額が減少しますが、一定の税負担軽減が受けられます

具体的には、配偶者の年収が103万円を超えた時点で配偶者控除は受けられなくなりますが、配偶者特別控除により、所得に応じた控除が受けられる仕組みです。

例えば、配偶者の年収が110万円であれば、配偶者特別控除として38万円の控除が受けられますが、年収が150万円に近づくと控除額は減少し、最終的には控除がなくなります。これにより、配偶者がある程度の収入を得ながらも、家計の税負担を軽減することが可能となります。

 

201万円の壁:社会保険の適用条件

201万円の壁は、配偶者が社会保険に加入するかどうかを決定する収入基準です。具体的には、配偶者の年収が201万円を超えると、配偶者自身が厚生年金や健康保険に加入する義務が生じます。

これにより、配偶者の所得から社会保険料が差し引かれることになり、手取り収入が減少するだけでなく、家計全体での負担が増える可能性があります。

また、社会保険に加入することで、老後の年金受給額が増えるなどのメリットもある一方で、現在の収入に対する負担が増えるため、この収入の「壁」を超えることを躊躇する家庭も多いです。このため、201万円の壁は、働く時間や収入を調整する重要な要素として、多くの家庭で意識されています。

 

4. 配偶者控除が廃止されたら企業はどう変わる?

配偶者控除が廃止された場合、配偶者控除の廃止により従業員が家計の税負担を軽減するために収入を抑える必要がなくなるため、労働意欲が向上し、就業時間の増加が見込まれます。

特にパートタイム労働者や、収入を103万円以内に抑えていた従業員がフルタイムで働くことを選択するケースが増えるかもしれません。

さらに、配偶者がフルタイムで働くことを選択することにより、労働力の供給が増加し、人手不足に悩む企業にとっては人材確保がしやすくなる可能性があります。

これにより、企業は柔軟なシフト管理や労働時間の拡充を検討する必要が生じるかもしれません。また、従業員が副業やフリーランスとしての働き方を選択する可能性も高まり、企業は従業員の多様な働き方に対応するための制度やサポートを整える必要があります。これらの変化は、企業にとって新たな人事管理の課題となる一方で、より柔軟で多様な働き方を実現するチャンスともなり得ます

 

パートタイム労働者

パートタイム労働者にとって、配偶者控除の見直しは、働く時間や収入の調整が必要となる可能性があります。現在、多くのパートタイム労働者は、103万円の壁を意識して収入を抑えていますが、配偶者控除が廃止されると、これに拘束されることなく働けるようになるかもしれません。

しかし、同時に家計の税負担が増加する可能性もあり、パートタイム労働者が働く時間を増やす動機付けになる一方で、社会保険料の負担が増えることも考えられます。雇用主としては、パートタイム労働者がより多くの時間を働けるよう柔軟なシフト体制を導入することや、税負担の増加に対するサポートを検討することが求められるでしょう。

 

専業主婦(夫)のパートナーがいる従業員

専業主婦(夫)を持つ従業員にとって、配偶者控除の見直しや廃止は、家庭の経済状況に直接的な影響を与える可能性があります。

配偶者控除が適用されていた場合、家庭の税負担が軽減されていたため、従業員が仕事に集中できる環境が保たれていました。しかし、配偶者控除が廃止されると、専業主婦(夫)を持つ従業員にとっては増税となり、家計の負担が増加することが考えられます。

これにより、従業員が副業やパートナーの就業を検討する可能性が高まります。雇用主としては、このような変化に対し、従業員が家庭と仕事を両立できるよう、柔軟な勤務形態や福利厚生の見直しを行うことが求められます。

 

5. まとめ

配偶者控除の見直しは、日本経済に大きな影響を与える重要なテーマです。配偶者控除の廃止や見直しにより、あなたの家庭や事業がどのような影響を受けるか、ぜひ今後の計画に役立ててください。

 

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