事業承継計画書の作成手順|基本概要からわかりやすく解説します!
【この記事でわかる事】
- 事業承継計画の基本と重要性
- 親族内、従業員、M&Aによる事業承継の方法
- 事業承継計画書の作成手順
- 税務対策や法的手続きを円滑に進めるためのポイント
- 事業承継補助金の概要と申請要件
- 事業承継を成功させるための専門家の活用方法
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ー目次ー
1. 事業承継計画とは?
事業承継計画とは、経営者が事業を次世代に引き継ぐために必要なステップを整理した計画のことです。後継者の選定、経営権の移行、税務対策など、承継プロセス全体を見据えて策定されます。
経済産業省のデータによると、事業承継を計画的に進めることで、企業の存続と成長が確実に図れるとされています。企業資産の相続や贈与税対策を考慮した事業承継計画は、経営者にとって重要な課題です。
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事業承継計画書とは
事業承継計画書とは、経営者が事業を次世代に円滑に引き継ぐための具体的な計画を記した文書です。
この計画書には、後継者の選定や育成方法、承継にかかる期間、資産の分配方法などが明確に記載され、経営者は自身の引退後のビジョンの具現化や、後継者や従業員に対して企業の将来像を示す目的があります。
事前に課題を洗い出し、承継プロセスをスムーズに進めるための重要な書類です。
日本政策金融公庫:各種書式のダウンロード
「事業承継計画書」[Word]https://www.jfc.go.jp/n/service/doc/jigyousyoukei_220401a.docx
「事業承継計画書記入ポイント」[PDF]https://www.jfc.go.jp/n/service/pdf/jigyousyoukei_point210401a.pdf
事業承継計画表とは
事業承継計画表は、事業承継計画の具体的な実行スケジュールを示す表です。
後継者の選定時期や資産の分配タイミング、経営権の移行計画などが記載されます。
計画表を作成することで、事業承継が計画通りに進んでいるかを確認でき、必要に応じてタイミングの調整や追加の対策を講じることができるほか、株式や経営権の移行は慎重に進める必要があります。
中小企業庁:事業承継ガイドライン(第3版)https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/shoukei_guideline.pdf
2. 事業承継の3つの方法
事業承継には、主に「親族内承継」「従業員承継」「第三者承継(M&A)」の3つの方法があります。
これらは、それぞれに異なるメリットとリスクが伴いますが、企業の規模や経営者の意向、後継者の有無によって最適な選択が異なります。それでは、各方法について詳しく見ていきましょう。
方法①親族内承継
親族内承継とは、経営者の親族、例えば子供や兄弟などが後継者となる形です。
【メリット】
〇家族内での信頼関係があり、円滑な引き継ぎが期待できる
〇株式や資産の分配が比較的簡単に行える
【デメリット】
△後継者の能力不足や意欲の欠如が問題になる可能性
△家族間での遺産相続トラブルが発生する可能性
方法②従業員承継
従業員承継とは、企業内部の信頼できる従業員が後継者となる方法です。
【メリット】
〇従業員は企業の内情を理解しており、引き継ぎがスムーズ
〇経営者の方針を維持しやすい
【デメリット】
△後継者選定の過程で、他の従業員との間で対立が生じる可能性
△金銭的な支援や資産分配の複雑さ
方法③第三者承継(M&A)
M&Aとは、第三者に企業を売却し、事業を承継する方法です。
【メリット】
〇高額での売却が可能な場合がある
〇親族や従業員に負担をかけずに事業承継ができる
【デメリット】
△買収先が企業の方針や文化を変えるリスク
△従業員や顧客の不安が高まる可能性
3. 事業承継計画書の作成手順
事業承継計画書を作成するためには、現状を把握し、今後の課題を整理することから始まります。ここでは、計画書作成の具体的なステップを見ていきます。
ステップ1:現状把握と課題整理
まずは現在の企業の財務状況や経営体制を正確に把握し、事業承継における課題を明確にすることが重要です。
例えば、資産の相続や贈与税の問題、後継者の育成にどの程度の時間がかかるかを見極める必要があります。これにより、どの分野に重点を置くべきかが見えてきます。
ステップ2:後継者の選定と育成
次に、後継者の選定と育成を進めます。後継者は企業の将来を担う重要な存在であり、時間をかけて育成する必要があります。
具体的には、経営者としてのスキルだけでなく、リーダーシップや意思決定能力を身に着けるためのトレーニングを計画します。
ステップ3:承継のタイミングと方法の検討
適切なタイミングと方法の選定を計画しましょう。
経営者が高齢になってから急に承継を進めるのではなく早めに準備を始めたり、企業の成長段階の見極め、経済の不況期や業界全体の変革期にある場合、事業の安定を図るために承継を延期するなどの戦略が必要です。
親族内承継ではタイミングに余裕がある一方で、M&Aの場合は外部との交渉が必要であり、承継にかかる時間や手続きが大幅に異なることなどを考慮し、しっかりと計画を立てる必要があります。
ステップ4:事業承継計画書の作成
後継者の選定や育成が進んだ段階で、具体的な事業承継計画書を作成します。
この計画書には、事業の引き継ぎ時期、資産の分配方法、後継者の役割などを詳細に記載します。これにより、経営者が引退する際に、企業が混乱することなく運営を続けることが可能です。
また、事業承継計画書は、後継者が将来的に直面するであろう課題を事前に予測し、その対応策を提示する重要なツールとなります。
ステップ5:事業承継計画表の作成
最後に、計画書に基づいた実行スケジュールを記載した事業承継計画表を作成します。
これにより、事業承継の進捗を管理しやすくなり、必要に応じてタイミングの調整が可能となります。また、株式の分配や経営権の移行といった重要なイベントを適切な時期に実行できるよう、計画表を活用することが推奨されます。
4. 事業承継の税務&法律のポイント
事業承継においては、相続税や贈与税といった税務面での負担を軽減するために、適切な税制特例の活用が求められます。また、遺言書や株式の分配に関する法的手続きを正しく行うことも、スムーズな事業承継の実現には不可欠です。
事業承継税制の活用方法
事業承継税制には、贈与税や相続税の特例措置があり、これを活用することで税負担を大幅に軽減できます。例えば、特定の条件を満たすことで相続税の納税を猶予する制度などが存在します。
こうした税制特例を適用するには、あらかじめ国税庁のガイドラインに従い、必要書類を揃えておくことが重要です。※参考:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm
相続・贈与時の法的対策
事業承継における相続や贈与の際には、遺言書の作成や株式配分に関する法的手続きを適切に行う必要があります。
特に、遺産分割による経営権の分散を避けるためには、弁護士や税理士の専門的なアドバイスを受けることが推奨されます。これにより、事業承継後も企業が安定して運営される基盤が築かれます。
5. 事業承継計画のリスク管理
事業承継には多くのメリットがある一方で、計画が不十分であるとさまざまなリスクが発生します。ここでは、よくあるリスクとその管理方法について説明します。
株式と経営権の分配リスク
事業承継において、株式の分配は慎重に行わなければ、経営権が分散し、意思決定が難しくなるリスクがあります。
このリスクを回避するためには、後継者に経営権を集中させる配分方法を検討することが重要です。株式の分配方法については、税理士や弁護士のサポートを受けながら、事業の将来を見据えて計画的に進めることが求められます。
家族間のトラブル防止策
親族内承継では、相続や経営権に関する家族間のトラブルが発生しやすいです。これを避けるためには、遺産分割協議を円滑に進めるための事前準備や、遺言書の作成が効果的です。
また、外部の専門家による調整も有効であり、家族間の信頼関係を保ちながら事業承継を進めることができます。
6. 事業承継補助金とは
事業承継補助金は、中小企業がスムーズに事業承継を行うために提供される支援金です。
主に、後継者の育成や事業承継計画の策定にかかる費用が補助の対象となります。(最新の公募状況は公式サイトをチェック)
【対象者】
専門家活用枠:M&Aにより経営資源を他者から引継ぐ、あるいは他者に引継ぐ予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)
経営革新枠:事業承継、M&A(経営資源を引き継いで行う創業を含む。)を契機として、経営革新等に挑戦する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)
廃業・再チャレンジ枠:事業承継・M&Aに伴い既存の事業を廃業し、新たな取り組みにチャレンジする予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。) ※再チャレンジの主体は、法人の場合は株主、個人事業主の場合は個人事業主本人となります。※廃業・再チャレンジ枠は、経営革新枠・専門家活用枠と併用できます。
【必要書類】事業承継計画書、申請書、決算書 など
【最大補助率】2/3(専門家活用枠,経営革新枠,廃業・再チャレンジ枠)
【上限額】 600万円(専門家活用枠),800万円(経営革新枠),150万円(廃業・再チャレンジ枠)
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7. まとめ
事業承継は、企業の未来を左右する重要なプロセスです。後継者の育成や資産の分配、税務・法務の準備など、計画的に進めることで円滑な引き継ぎが可能となります。早期準備と専門家の活用がリスクを軽減するポイントです。
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