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令和6年10月からの「社会保険適用拡大」中小企業経営者向けの情報まとめ

令和6年10月からの「社会保険適用拡大」中小企業経営者向けの情報まとめ

更新日 2024.11.05

2024年10月から始まる新しい社会保険適用拡大では、これまで適用対象外だったパートタイマーやアルバイトの従業員にも社会保険加入が義務付けられます。本記事では、中小企業経営者の皆様がおさえておきたいポイントを解説します。

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1. 社会保険の基本概要

社会保険とは、国民が安心して生活できるよう、病気や老後、介護などのリスクに対して備えるために、国が運営する保険制度です。社会保険の種類には、以下のようなものがあります。

🔵健康保険

  • 病気やケガをした際に医療費の一部を保険で賄う制度です。労働者とその扶養家族が対象となり、医療サービスを低負担で受けることができます。

🔵厚生年金保険

  • 老後の生活を支えるための年金制度で、会社に勤める労働者が加入します。定年後や障害が発生した場合にも給付が行われます。

🔵介護保険

  • 介護が必要な高齢者や障害者を支援するための制度です。要介護状態に応じて、介護サービスを提供し、家庭や施設でのケアをサポートします。

🔵雇用保険

  • 失業した際に生活を支援するための給付を行う制度です。失業手当や再就職活動をサポートするための給付金が含まれます。

🔵労災保険

  • 仕事中に発生した事故や病気に対して保障を提供する制度で、医療費の負担や休業中の所得保障を行います。

社会保険は、労働者の生活の安定と福祉向上を図るために重要な役割を果たしています。これにより、国全体として労働力の確保や社会的な安全網が強化され、健全な経済活動を維持することができます。

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社会保険(健康保険)と国民健康保険の違い

社会保険(健康保険)は主に企業に勤める従業員を対象とした公的医療保険であり、企業と従業員が費用を折半します。

一方、国民健康保険は主に個人事業主やフリーランスなどの自営業者が加入する保険です。企業に勤める従業員の場合、より手厚い健康保険の方がメリットが多いと言えます。

 

任意の適用と義務的適用とは

社会保険は、企業規模や従業員数に応じて義務的適用や任意適用が異なります

従業員が常時5人以上の企業では、強制的に健康保険および厚生年金保険(社会保険)への加入が義務付けられます。一方で、小規模事業所やパートタイマーが多い企業の場合、任意適用も考慮されることがあります。

 

2. 【2024年10月開始】社会保険適用拡大とは

2024年10月から、パートタイマーやアルバイトの従業員にも社会保険が適用される範囲が広がります

背景には、少子高齢化社会への適応や働き方の多様化に対応する必要性を重視し、幅広い労働者層にも社会保険の恩恵を届け、従来は社会保険の対象外であった人々にも保障を提供することで、より安心して働くことができる環境を整える狙いがあります。

この制度拡大の詳細と、従業員と企業にどのようなメリットをもたらすか、詳しく見ていきましょう。

 

社会保険適用拡大のメリット

社会保険の適用拡大は、企業にとって人材の確保や定着に大きな効果が期待されます。厚生労働省の調査によれば、約6割の企業が「社会保険完備」を求人票に記載し、短時間労働者にも社会保険を適用した理由を「従業員の年金額の増加や健康保険の加入により待遇を改善し、人材の確保と定着を図りたかった」と答えています。これにより、特にパートタイマーやアルバイトの労働者にとって、社会保険が企業選びの重要な要素となっています。

【企業にとってのメリット】

  • 社会保険を完備することで、企業は優秀な人材を確保しやすくなる
  • パートタイマーや短時間労働者の求人が魅力的に映り、応募者が増加
  • 従業員が安定して働き続けることで、シフト調整が円滑に進む
  • 福利厚生を充実させることで従業員のモチベーションが向上し、生産性が向上する
  • 長期的なキャリア形成を促す環境を提供し、従業員の定着率が高まる

 

また、従業員にも多くのメリットがあります。特に若年層や高齢層の従業員にとっては、将来の年金受給額が増加することや、病気やケガの際の傷病手当金を受け取ることができる点が大きな魅力です。厚生年金に加入することで、老後の年金受給額が大幅に増えることや、健康保険により医療費の負担が軽減されるなどの利点もあります。

【従業員にとってのメリット】

  • 将来受け取る年金額が増えることで、老後の生活が安定する
  • ケガや病気で働けなくなった場合、傷病手当金が給与の2/3支給される
  • 産前産後休業中に出産手当金を受け取ることができる
  • 医療費負担が軽減され、安心して医療サービスを受けられる
  • 年収の壁を気にせずに、自由に働く時間を調整できる

次に、具体的な対象企業と従業員について詳しく見ていきましょう。

 

2024年10月からの対象企業は?

画像引用|厚生労働省

①2024年10月から、従業員数51人~100人の企業等で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。
②2022年10月から、従業員数101人~500人の企業等で働くパート・アルバイトが新たに社会保険の適用になります。※企業年金(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金)を実施している場合は、厚生年金保険の適用拡大に伴い、別途、企業年金の加入要件の整理が必要になる場合があります。

従業員数のカウントは、「フルタイムで働く従業員数」+「1週間の所定労働時間及び、1月の所定労働日数が、フルタイムの3/4以上の従業員数」の合計です。

 

対象となる従業員の要件

対象となる従業員は以下の4つの条件をクリアした人です。詳細は、公式HPでご確認下さい。

✅週20時間以上30時間未満働く者

✅月額賃金8.8万円以上の者

✅2カ月の雇用が見込まれる者

✅学生でない者

 

3. 社会保険に加入するための手続き

企業が社会保険適用拡大の条件に当てはまる場合、速やかに被保険者資格取得届や扶養者の追加に関する書類などを年金事務所に提出する必要があります

従業員の費用負担などの重要事項について社内でしっかりと周知を行い、労務管理システムを見直す必要もあります。

主な届書類様式の一覧

4. 新たな費用負担は?

これまで対象外だった従業員が社会保険に加入することで、企業は人件費の増加が予想されます。事前に金額を把握し、予算計画を立てましょう。

シミレーション

5. 社会保険に加入しないとどうなる?

企業が法的に定められた社会保険の適用対象者に対して社会保険に加入させない場合、労働基準監督署や年金事務所から是正勧告が行われますが、これに従わない場合、企業に対して罰金が科される可能性がある他、悪質な場合には経営者や担当者に対して懲役刑が課されることもあります。

また、未加入の状態で従業員が労災事故や疾病に遭遇した場合、社会保険から給付を受けられないため、企業がその費用を全額負担しなければならない場合もあります。

従業員の安心や信頼を損ね、企業の評判にも悪影響を及ぼす可能性があるため、法的なリスクだけでなく、企業経営にも大きな打撃となりかねないため、しっかりとコンプライアンスを遵守しましょう

 

6. 人件費アップに使える助成金は?

社会保険適用拡大に伴い、人件費の増加が企業の負担になることが考えられますが、その際に活用できる助成金制度も存在します。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規社員を正規雇用に転換や賃金アップなど待遇改善を実施する企業に対して支給される助成金です。

企業が非正規社員(パートタイマー、契約社員など)を正規雇用に切り替えることで、従業員の待遇改善やキャリア形成を支援します。

  • 最大助成額:中小企業:一人当たり最大80万円
  • メリット:従業員の安定した雇用を促進し、企業の人材確保・定着を強化できる

最新情報は公式HPを確認して下さい。

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7. まとめ

2024年10月からの社会保険適用拡大により、これまで対象外だったパートタイマーやアルバイトの従業員にも社会保険の適用が広がり、企業や労働者にとって多くのメリットをもたらします。

しかし、社会保険に加入させない場合には罰則が科せられるリスクがあるため、10月からの適用拡大に向けて、今からしっかりと準備を進めましょう

 

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