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電子帳簿法対策に使えるIT補助金とは?申請の為のステップを解説!

電子帳簿法対策に使えるIT補助金とは?申請の為のステップを解説!

更新日 2024.11.19

中小企業や個人事業主の皆様、デジタル時代の進展に伴い、業務の効率化や法令遵守がますます重要となっています。2024年1月から開始された「電子取引のデータ保存」が完全義務化は、帳簿のデジタル保存を可能にし、事業運営を支える制度です。

本記事では、電子帳簿保存法の概要から、対応システム導入に活用できる補助金制度、システム選定のポイントなど、効率的な対策のための情報を詳しく解説します。

 

1. 電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法は、税務関連の帳簿や書類を電子データとして保存するための要件を定めた法律です。

この法律により、国税に関する帳簿や書類を紙ではなく電子データとして保管する際には、法が定める保存条件を満たす必要があります。

電子帳簿保存法は1998年に施行され、その後も業務のデジタル化に対応するため、何度も改正が行われてきました。

特に2022年1月の大改正では、2024年1月1日以降の電子取引で交わされる書類データの保存が完全に義務化され、企業は必ず電子データの形での保存対応を行わなければならなくなっています。

 

2. 電子帳簿保存の三つの区分

電子帳簿保存法では、データ保存形式として以下の3つの区分があります。

🔴電子取引データ保存 - 電子取引で交わされたデータを保存する義務のある形式です。

🔴国税関係帳簿の電磁的記録保存(電子帳簿等保存) - 電子帳簿保存の区分に属し、会計帳簿や決算資料をデータとして保管します(任意対応)。

🔴スキャナ保存 - 紙の書類をスキャンしてデータとして保存する形式で、電子保存の要件を満たせば紙の書類を保管せずに済みます(任意対応)。

法対応の義務がある電子取引データの保存に加え、任意対応である他の2つの区分も、ペーパーレス化や業務効率化といった利便性が高く、多くの企業が活用しています。

電子帳簿保存法に適合した保存方法を導入するためには、対象の書類がどの区分に属するかを確認し、適切な対応方法を取ることが必要です。

 

3. 電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、国税計算や決算、取引の証拠として重要な役割を果たす帳簿や書類です。

電子帳簿保存法では、これらをデータとして保存する際に要件が設けられています。

対象となる書類は「国税関係帳簿」「決算関係書類」「取引関係書類・電子取引書類」の3種類で、それぞれに対応する保存形式が異なります。

事業者は各書類の保存方法を理解し、適切な形式で電子保存を行う必要があります

 

✅国税関係帳簿

国税関係帳簿とは、仕訳帳や総勘定元帳など、税務署への申告時に必要な会計帳簿を指します。これらは「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存(電子帳簿等保存)」の区分に該当します。

パソコンや会計ソフトで作成された国税関係帳簿は、この区分に基づいて電子データとして保存が可能です。

保存には特定の要件を満たすことが求められるため、事前に対応システムを整えることが推奨されます。

✅決算関係書類

決算関係書類とは、貸借対照表や損益計算書など、企業の決算作業に必要な書類です。

これらも国税関係帳簿と同様に「電子帳簿等保存」に該当し、デジタル形式で保存することが認められています。適切な電子保存を行うことで、紙の管理コストを削減し、法令に基づいた効率的な書類保存が実現できます。

✅取引関係書類・電子取引書類

取引関係書類および電子取引書類は、請求書や見積書など、取引に伴う証拠として交わされる書類です。

紙でやりとりする取引書類はスキャン保存を行うことで「スキャナ保存」の区分に該当し、電子データで受け取った電子取引書類は「電子取引のデータ保存」の対象となります。電子取引で受け取ったデータは電子保存が義務化されており、適切な保存方法を準備する必要があります。

 

4. 電子帳簿保存法に対応しないとどうなる?

電子帳簿保存法の改正により、2024年1月以降はすべての事業者に「電子取引」への対応が義務化されています。

電子帳簿保存法に対応しないままでは、他社との取引にも支障が生じる可能性があり、業務効率も低下してしまうおそれがあります。

ここでは、電子帳簿保存法に対応しない場合のデメリットや業務への影響について解説します。

 

❌電子化に対応しない取引方法の制限

電子帳簿保存法に対応しない場合、電子的な請求書や領収書のやり取りに対応している企業との取引に制限がかかる可能性があります。

紙でのみ取引を行う企業に限られるため、電子化が進む中で取引の機会を逃すリスクもあります。効率的な取引を継続するためにも、電子帳簿保存法への対応が求められます。

 

❌経理業務が非効率になる

紙での帳簿保存は、検索や共有に手間がかかり、経理業務の非効率化を招きます。

また、書類の郵送にかかるコストや時間も増大し、経費もかさみます。電子帳簿保存法に対応することで、電子的に書類を保存し、経理業務の効率化を図ることが可能です。

 

❌人的ミスの増加

紙の書類を手作業で管理していると、記入漏れや計算ミスなどの人的ミスが発生しやすくなります

電子帳簿保存法に基づいた電子化を行うことで、経理業務の自動化が進み、人的ミスが減少します。これにより、取引先とのトラブルリスクも抑えられます。

 

❌文書の紛失・劣化リスク

紙で保存すると、破損や色あせ、紛失といったリスクが避けられません。また、高いセキュリティ対策も求められます。

電子帳簿保存法に対応して電子化することで、これらのリスクを低減し、文書のセキュリティを強化できます。

 

❌保管スペースの増加

紙のまま保存する場合、保管スペースが必要です。

法人の場合、基本的に7年間の書類保管が義務づけられており、書類の量が増えるほどスペースが圧迫されます。電子化することで、保管スペースが不要になり、コスト削減にもつながります。

 

❌電子帳簿保存法に違反した場合の罰則

電子帳簿保存法に違反すると、以下の3つの罰則が科せられるリスクがあります。

  • 青色申告の承認が取り消される
    青色申告の承認が取り消されると、最大65万円の特別控除が受けられなくなります。これは税務上の大きなデメリットであり、企業の信頼性にも悪影響を及ぼします。
  • 推計課税や追徴課税が課せられる
    法定要件を満たさずに電子データを保存した場合、税務調査で適切な証拠書類とみなされず、推計課税や追徴課税が課される可能性があります。
  • 会社法による過料が科せられる
    法律に違反した場合、会社法に基づく過料が科せられるリスクもあります。

これらの罰則は、企業にとって経済的な負担だけでなく、信頼性や評価にも大きな影響を与えます。電子帳簿保存法に対応し、罰則リスクを回避するための準備が重要です。

 

5. 電子帳簿システムの導入に使えるIT導入補助金とは?

IT導入補助金は、中小企業が電子帳簿システムをはじめとするITツールを導入する際にかかるコストを補助する制度です。

この補助金は、企業のデジタル化を支援するために設けられており、対象となる経費には、システムの初期導入費用やクラウドサービスのライセンス費用、運用・保守にかかる費用などが含まれます。

電子帳簿保存法に対応するためには、タイムスタンプ機能や検索機能などが備わったシステムが必要となりますが、IT導入補助金を活用することで、こうしたシステムの導入にかかるコストを軽減できます。

 

対象者

IT導入補助金の対象者は、中小企業や個人事業主であり、特に電子帳簿保存法に対応したデジタルシステムを導入して業務の効率化や生産性向上を目指す事業者が対象です。

例えば、製造業、小売業、サービス業などの幅広い業種が補助金の対象に含まれています。

企業ごとに要件が異なる場合があるため、補助金申請の詳細については、Jコンサルの無料相談を活用して確認することをおすすめします。

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補助額

IT導入補助金の最大補助額は3000万円で、補助率は最大3/4です。

企業の負担額は補助金によって大幅に軽減され、特にシステム導入費用が高額になる場合には有効です。

たとえば、電子帳簿保存法対応のシステムやクラウドソフトの導入を検討している企業であれば、これらの費用を抑え、経営資源を他の重要な分野に振り分けることができます。

 

6. 補助金申請対象システムの選び方

電子帳簿保存法に対応したシステムを導入する際は、自社の目的や業務フローに合ったシステムを選ぶことが大切です。導入目的に応じて、電子帳簿システムは3つのタイプに分類できます。以下、それぞれのタイプの特徴や適した導入ケースについて解説します。

(1)電子保存専用タイプ:さまざまな書類を電子帳簿保存したい場合

電子保存専用タイプは、請求書や領収書に限らず、契約書や発注書、送り状など幅広い書類を電子保存したい場合に適しています。

電子帳簿保存法の「スキャナ保存」や「電子取引情報の保存」に対応した基本的な機能を備え、ペーパーレス化を進めたい企業におすすめです。比較的安価なプランや無料で利用できるサービスもあり、電子帳簿保存法への対応が主な目的である場合にはこのタイプで十分なことが多いです。

【代表的なサービス】

  • invox電子帳簿保存 - 「セルフ」「オペレータ」「AI OCR」からデータ化方法を選択可能
  • DenHo - 手書き帳票にも対応し、アップロード方法が多様
  • バクラク電子帳簿保存 - 無料プランでも区分や解像度の自動判定機能付き

(2)請求書受領タイプ:請求書を中心に電子保存したい場合

大量の請求書を効率的に電子化したい場合は、請求書受領タイプのシステムがおすすめです。

このタイプは電子データの保存だけでなく、紙で受領した請求書をOCRで読み取り、データ化から保管までを行う機能も備えています。請求書受領・管理の効率化を目指す企業に適しています。

【代表的なサービス】

  • TOKIUMインボイス - 請求書の形式を問わず、受領から原本保管までを代行
  • BtoBプラットフォーム請求書 - 請求書の発行・受取を一括管理、システム自動取込にも対応
  • マネーフォワードクラウドインボイス - 代理受領や紙の請求書の保管・破棄まで対応

(3)経費精算タイプ:領収書を中心に電子保存したい場合

経費精算に関する書類を効率的に電子保存したい場合には、経費精算タイプのシステムが便利です。

このタイプは、領収書の電子保存とあわせて経費精算業務の効率化が図れるため、経理担当者や精算申請をする従業員の業務負担を軽減することができます。

【代表的なサービス】

  • 楽楽精算 - 承認フローやレイアウトの自由なカスタマイズが可能
  • 経費BANK - 中小企業向けで、柔軟な料金設定を提供
  • Concur Expense - QRコード決済や法人カードなど、各種サービスと連携

電子帳簿システム選びの比較ポイント

導入タイプが決まったら、各システムの機能や特長を比較検討することが重要です。以下の4つのポイントを押さえ、最適なシステムを絞り込みましょう。

(1)対応書類の範囲

電子保存に対応する書類の範囲がシステムによって異なるため、今後の業務拡大も考慮し、必要な書類が含まれているかを確認します。

たとえば、「TOKIUMインボイス」や「OPTiM 電子帳簿保存」は、見積書や契約書など幅広い書類の電子保存に対応しています。

(2)スキャナ保存要件への対応

電子帳簿保存法のスキャナ保存要件に対応しているかも重要です。スキャンデータへのタイムスタンプ付与や、訂正・削除履歴の保存など法定要件を満たす機能が備わっているか確認しましょう。

「楽楽精算」や「TOKIUMインボイス」には、スキャナ保存機能が自動化されているものもあり便利です。

(3)データの自動入力機能の有無

データ入力を自動化するOCR機能があると、検索要件を満たしつつ、入力作業の手間が省けます。

特に「invox電子帳簿保存」や「マネーフォワードクラウドインボイス」のAI OCR機能は、高精度な文字認識で効率的なデータ化をサポートします。

(4)書類の集約方法

受領した書類を効率的に集約・管理できる機能があると便利です。

たとえば、「楽楽電子保存」では、複数の取引先から受け取った請求書をマイページで一元管理できます。また、「OPTiM 電子帳簿保存」では、見積書・注文書・請求書など、一つの取引に関連する複数の書類を紐づけて一覧化する機能が搭載されています。

これらの比較ポイントを踏まえ、自社の業務フローに最適なシステムを選択しましょう。

また、電子帳簿保存法の要件に対応したシステムを選ぶ際には、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認証する「JIIMA認証ソフト」も参考になります。

 

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