【2025年版】カスハラ(カスタマーハラスメント)対策補助金・奨励金ガイド
カスタマーハラスメント(通称「カスハラ」)は、業務に関係する顧客等からの過剰なクレーム・暴言・不合理な要求などが従業員の精神的負担となり、離職・生産性低下などを引き起こす深刻な問題です。
こうした「カスハラ」被害を未然に防ぎ、従業員が安心して働ける環境を整備するために、都道府県や市区町村、そして国や自治体と連携した補助・奨励制度が新たに整備されつつあります。
本記事では、2025年時点で実際に使える「カスハラ対策補助金/奨励金制度」の事例と、採択されるためのポイントをわかりやすく解説します。
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1. カスハラとは何か?補助制度導入の背景
「カスハラ(カスタマーハラスメント)」とは、顧客や取引先などが、従業員に対して行う不当・過剰な言動や要求、怒声・脅迫、長時間拘束、人格否定的発言などを指します。
こうした行為は、従業員のストレス・精神的負担を高めるだけでなく、離職率の増加、生産性低下、企業ブランドの毀損といった経営リスクにも直結します。
近年、社会的にも関心が高まりつつあり、東京都では 2025年4月1日付で「東京都カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行され、それに対応する奨励金制度が導入されました。
このような制度は、従業員を守る環境整備を企業の義務・責任と認め、その実行を促す政策的な支援策です。
2. 東京都のカスハラ対策奨励金制度の概要
東京都で実際に運用されている「カスタマーハラスメント防止対策推進事業 企業向け奨励金」は、中小企業・事業者を対象に、一定のカスハラ対策を実施した場合に定額40万円を支給する制度です。
主な支給要件
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適格事業者
都内で事業を行う中小企業(従業員300人以下など要件あり) -
基本整備
カスハラ対策マニュアルの作成・社内周知、基本方針の策定・公表などが必要。実践的な取組(以下のいずれか一つ以上)
- 録音・録画機器や環境を整備する
- AIを活用した通話文字起こし等のシステム導入
- 外部専門人材(弁護士、コンサルタント等)を活用する -
申請方式・手続き
申請は電子申請システム jGrants 経由で行われ、GビズID(法人用アカウント)の取得が必要です。
奨励金額・募集回次
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支給額は定額 40万円 とされています。
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公募は年に複数回(例:第1回 → 2025年6月30日〜8月8日)実施され、各回とも 1,000件程度 の募集枠が設けられています。
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予算上限に達すると締め切り前に受付を終了するケースがあるため、申請準備は早めが望ましいです。
3. 団体向け補助金制度と助成対象
東京都制度には、業界団体などを対象とした補助金制度もあります。団体が会員企業に対してカスハラ防止の普及啓発や支援活動を行う場合、補助・助成を受けられる制度が設けられています。
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補助限度額:1団体あたり 5,000万円
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補助率:1/2
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対象経費:広報・普及啓発活動、条例普及の取り組み経費など
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募集期間:例として 2025年4月30日〜7月31日 など
このように、企業だけでなく業界団体・業界協会も制度活用の対象となるケースがあります。
4. 他自治体・地方補助制度の動向
東京都以外にも、いくつか地方自治体では 中小企業カスタマーハラスメント対策支援補助金 のような制度が確認されています。
例として 名古屋市 では、以下のような補助制度があります
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対象:名古屋市内の中小企業
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補助対象事業:就業環境改善のためのカスハラ対策(録音機・通話録音装置・対策マニュアル作成外部委託費など)
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補助率:対象経費の 1/2
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補助上限額:5万円~30万円 以内
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募集時期:例として 8月1日~8月29日、第2期 10月1日~10月31日 など
自治体によって対象範囲・補助率・上限額は大きく異なるため、自社が事業所を置く自治体制度の有無を調べることが重要です。
5. 補助金・奨励金を活用する際の注意点と成功のコツ
以下のポイントを押さえておくと、補助制度を有効に活用しやすくなります。
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要件確認を徹底する
補助制度では「マニュアル整備」「実施取組(録音、AI、外部人材)」といった要件を満たすことが前提です。申請前に自社で対応可能な取組を設計しておくことが不可欠です。 -
制度開始前・着手前に申請を行うこと
多くの制度では、事前申請(交付決定前の契約・着手を禁止)が求められます。既に実施済みの対策は対象外になることがあります。 -
証拠資料・記録の整備
見積書・契約書・実施報告書・導入写真・社内周知記録などを整備し、後日の報告や補助金確定手続きを見据えて残しておくべきです. -
電子申請対応やID準備
東京都の制度では jGrants を用いた電子申請が定められており、GビズID(法人認証基盤)の取得が前提となっています。時間を要するため、早めに準備しておくことが望ましいです。受付件数上限・早期終了リスクを意識する
各回あたりに定められた件数(東京都制度では 1,000件程度)に達したら、期限より前に受付が終了する可能性があります。募集開始直後の申請が有利です。 -
他制度との併用可否を確認
国の助成金、自治体の補助金、業界支援制度などとの併用が可能かどうかを事前に確認しておくと、費用負担を最小化できます。
6. まとめ:カスハラ対策は補助金を活用してスピード感を持って進めよう
「カスハラ 補助金」というキーワードで見ると、2025年時点で最も整備が進んでいるのは東京都の 企業向け奨励金(40万円) および 団体向け補助金制度 です。中小企業はこの制度を活用して、マニュアル整備や録音設備、AI対応や外部人材の活用などを取り組むことが可能です。
また、名古屋市のように地方自治体レベルでの補助制度も始まっており、自治体によっては「数万円〜数十万円」規模の補助が受けられる場合があります。
カスハラ対策は従業員の安心確保という観点だけでなく、企業のリスクマネジメント・ブランド保全の観点からも重要です。補助制度を活用して、できるだけ早く社内体制を整備することが推奨されます。
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