パートから正社員に転換するための助成金|申請方法と受給条件を解説
昨今の労働市場の変化により人材の確保と育成がますます重要になる中、パート従業員を正社員化するための助成金を活用する企業が増えています。
本記事では、パートやアルバイトから正社員への転換を支援する「キャリアアップ助成金」をご紹介します。
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ー目次ー
1. パートから正社員へ転換するための助成金とは?
パートやアルバイトといった非正規雇用者を正社員に転換する際や、賃金アップなど待遇改善に利用できる助成金制度「キャリアアップ助成金」です。企業が労働者のキャリア形成を支援し、安定した雇用を促進するための重要な制度であり、企業の生産性向上や人材定着にも寄与します。
キャリアアップ助成金を活用することで、税制上・社会保険上で「年収の壁」と言われる負担を軽減し、安定した雇用環境で従業員のモチベーションを向上させることができます。最新情報は公式サイトをご確認下さい。
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キャリアアップ助成金の基本概要
画像引用|厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク
パート・アルバイト従業員を正社員にする際に活用できるキャリアアップ助成金は、「正社員コース」に該当します。
正社員化支援
-
- 正社員化コース:有期雇用労働者等を正社員に転換する場合に支援されます。正規雇用労働者には「多様な正社員(勤務地限定、職務限定、短時間正社員)」も含まれます。
- 障害者正社員化コース:障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換する場合に適用されます。
処遇改善支援
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- 賃金規定等改定コース:有期雇用労働者等の基本給の賃金規定を改定し、3%以上増額する場合に支援されます。
- 賃金規定等共通化コース:有期雇用労働者等と正規雇用労働者の共通賃金規定を新たに制定・適用する場合に支援されます。
- 賞与・退職金制度導入コース:有期雇用労働者等を対象に、賞与または退職金制度を導入し、支給や積立を実施する場合に適用されます。
- 社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで):有期雇用労働者等を社会保険に適用し、収入を増加させる措置を取る場合に適用されます。
助成金を活用するメリット
キャリアアップ助成金を活用することで、企業には以下のようなメリットがあります。
- 返済不要:助成金は融資とは異なり、受給後の返済が不要であるため、企業の財務負担を軽減します。
- 人材定着率の向上:非正規雇用者を正社員に転換することで、従業員のモチベーションが向上し、長期的な人材定着につながります。
- 労働力の安定化:正社員化により、安定した労働力を確保でき、企業の生産性向上にも寄与します。
- 処遇改善の促進:賃金規定の改定や賞与・退職金制度の導入など、従業員の待遇改善をサポートし、企業の魅力を向上させることができます。
2. キャリアアップ助成金(正社員コース)の受給条件
キャリアアップ助成金の正社員化コースは、有期雇用労働者、無期雇用労働者、または派遣労働者を正社員に転換、または派遣先で直接雇用する企業に対して助成金を支給する制度です。
この助成金は、労働者のキャリアアップを支援し、雇用の安定と企業の生産性向上を図ることを目的としています。出典|キャリアアップ助成金のご案内(令和6年度版)
対象となる従業員の条件
- 有期雇用労働者(契約社員やパートタイム労働者など)
- 無期雇用労働者
- 派遣労働者(派遣先企業で直接雇用される場合)
上記のような労働者が、就業規則や労働協約に基づいて正社員(多様な正社員を含む)に転換された場合に対象となります。
企業が満たすべき条件
- 就業規則の整備:正社員転換に関する制度が就業規則や労働協約に規定されていること。
- 継続雇用:正社員転換後、6か月以上継続して雇用することが必要です。
- 賃金の引き上げ:転換後の賃金が転換前に比べて3%以上増額されていること。
企業が満たすべき条件には上記をはじめ、、雇用保険の加入状況や、社会保険適用なども確認されます。
支給額・加算額
- 中小企業:一人当たり最大80万円
- 大企業:一人当たり最大60万円
各種加算は、最大40万円。例えば母子家庭の母または父子家庭の父を正社員に転換した場合や、人材開発支援助成金の訓練修了後に正社員化した場合に追加で助成されます。
3. 助成金申請の手順と必要書類
キャリアアップ助成金を受給するための手続きは、いくつかのステップに分かれています。
助成金申請の流れ
「キャリアアップ助成金」の活用に当たっては、各コースの実施日の前日までに「キャリアアップ計画」の提出が必要です。助成金の申請対象となる正社員転換制度を、企業の就業規則や労働協約などに明確に規定し、対象となる労働者を、計画に基づいて正社員へ転換します。
正社員へ転換した後、6か月間以上継続して雇用する必要があり、6か月間の間に転換前よりも3%以上の賃金増額が行われていることが条件とされています。
申請に必要な書類
共通書類
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キャリアアップ助成金支給申請書(様式第3号)
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キャリアアップ計画書(写)
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正社員化前後の就業規則または労働協約等(写)
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正社員化前後の雇用契約書または労働条件通知書(写)
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正社員化前後の賃金台帳(写)
-
正社員化前後の出勤簿またはタイムカード(写)
第1期申請時の追加書類
- 第1期支給要件確認申立書(様式第1号)
第2期申請時の追加書類
-
第2期分の賃金台帳(写)
-
第2期分の出勤簿またはタイムカード(写)
加算措置が適用される場合の追加書類
-
母子家庭の母または父子家庭の父を確認できる書類(写)
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人材開発支援助成金の支給決定通知書(写)
これらの書類は、管轄の労働局に提出され、適切に申請が行われることで助成金が支給されます。提出期限や書類の不備には十分注意し、事前に労働局の指導を受けることをお勧めします。
申請時の注意点とよくあるミス
以下の注意点を守ることで、スムーズに助成金の申請が進みます。
-
書類の不備に注意:申請書類に記入漏れや不備がないか事前にしっかり確認しましょう。不備があると申請が受理されないことがあります。
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キャリアアップ計画書の事前提出:キャリアアップ計画書は事前に労働局に提出し、認定を受ける必要があります。事後提出は認められません。
-
賃金増額の証明:正社員転換後、賃金が3%以上増額されていることが条件です。賃金台帳で明確に証明できるよう準備しましょう。
-
雇用期間の管理:正社員転換後、6か月以上の継続雇用が必要です。6か月未満での離職が発生した場合、助成金の支給対象外となります。
-
書類提出期限の遵守:助成金の申請は、正社員化後の賃金支給日から2か月以内に行う必要があります。提出期限を過ぎると申請できません。
-
就業規則の整備:正社員転換に関する規定が就業規則や労働協約に明記されていない場合、申請は認められません。事前にしっかり整備しておきましょう。
-
派遣労働者の直接雇用:派遣労働者を正社員として直接雇用する場合、6か月以上同一の組織で勤務していることが条件です。派遣期間を確認しましょう。
-
申請者の親族の雇用:正社員転換対象者が事業主またはその親族である場合、助成金の対象外となるため注意が必要です。
-
離職者の管理:正社員化した日の前後6か月間に、事業主都合での解雇があると、助成金の対象外となる可能性があります。
-
助成金の重複申請に注意:同じ労働者に対して、他の助成金との重複申請が認められない場合があります。適用条件を事前に確認してください。
4. 人材確保・人材育成に使える助成金&補助金
キャリアアップ助成金の他にも人材育成や最低賃金の底上げ、人手不足解消に役立つ制度があります。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は人材育成研修の費用を助成する制度で、研修期間にかかった従業員の時給も助成してくれる申請枠もある制度です。
✅対象経費
新人・管理職・経営者層向けの研修や、DX化・CO2削減・機械操縦など、専門スキルアップ研修等様々な種類の教育研修が対象となります。
- オンライン・対面による人材研修費用
- 研修期間の従業員の時給(申請枠によって異なる)
✅助成率
45~75%
✅助成額
最大1億円
業務改善助成金
最低賃金アップの為の生産性向上や労働環境整備につながる設備投資に対する助成金制度です。
✅対象経費
- ECサイト
- システム開発
- ITツール
- 業務機械
- 厨房設備
- 社用車
- コンサル費用 など
✅助成率
最大3/4
✅助成額
最大600万円
中小企業省力化投資補助金
省力化ロボットやIOTの導入で業務の自動化を図り、従業員の負担軽減と賃金アップを目指す補助金制度です。
✅対象経費
- 清掃ロボット
- 配膳ロボット
- 自動倉庫
- 検品仕分けシステム
- 無人配送車
- スチームコンベクションオーブン
- 券売機
- 自動チェックイン機
- 自動精算機 など
✅補助率
1/2以下
✅補助額
最大1500万円
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6. まとめ
キャリアアップ助成金は、パートやアルバイトから正社員への転換を支援する重要な制度です。この助成金を活用することで、企業は人件費の負担を軽減しつつ、優秀な人材を確保し、長期的な成長を目指すことができます。
申請手続きや条件が複雑な場合でも、外部のサポートサービスを活用することで、スムーズに助成金を受給することが可能です。今後も最新の制度情報を把握し、積極的に助成金を活用していきましょう!