ロジックツリーを活用しよう!種類/作成法/活用メリットを解説

【この記事でわかること】
「ロジックツリー」とは、複雑な問題を樹木のように枝分かれさせて整理し、解決策を見つけるための思考ツールです。
この記事では、ロジックツリーの基本的な概念から、具体的な種類、作成方法、そしてビジネスシーンでの活用メリットまでを詳しく解説します。ロジックツリーを初めて学ぶ方でも、分かりやすく、そして実践的に活用できる内容となっています。
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1. ロジックツリーとは?
「ロジックツリー」とは、ある物事や問題を、樹木が枝分かれするように要素ごとに分解し、論理的に整理するフレームワークです。
幹から枝、さらに小枝へと分岐していくことで、複雑な問題を視覚的に捉えやすくする考え方で、問題の原因を特定したり、解決策を導き出したり、意思決定をサポートしたりするなどの目的で、商品開発や人材育成等のシーンで活用されています。
ピラミッドストラクチャーとの違い
ピラミッドストラクチャーは、会話の流れを論理的に組み立てるための手法です。結論を論理的に説明するために、根拠を並べてピラミッドを組み立てます。
ディスカッションにおいて相手を説得するために自分の主張の正しさの根拠を集めて、分かりやすく説明する時などに役立ちます。
一方ロジックツリーは、物事や問題から結論を導き出すため、ピラミッドストラクチャーとは軸となるキーワードが異なります。問題の原因を特定したり、解決策を導き出す際に役立つ手法です。
2. ロジックツリーの種類
ロジックツリーの種類は、目的や分析対象によって大きく4つに分けられます。それぞれの特徴と具体的な活用シーンを見ていきましょう。
Whyツリー(原因分析)
△営業成績が上がらないのはなぜか?という問題から「見込み客が少ない」「契約率が低い」「既存顧客のフォローが不十分でリピート率が低い」という原因をさらに細分化する
Whyツリーは、ある問題が発生した根本的な原因を究明するために用いられます。「なぜ?」という問いを繰り返すことで、問題の表面的な原因から、より深いレベルでの原因を特定することができます。
問題の根源を探ったり、原因と結果の関係を可視化したり、問題解決のための第一歩となる思考の整理が出来ます。
活用例としては、「品質不良の原因究明」や「売り上げ減少の原因分析」「顧客クレームの原因分析」等が挙げられます。
Howツリー(問題解決)
△営業成績を上げる方法として、「新規顧客を増やす」「契約率を上げる」「既存顧客のリピート率を上げる」などの方法を実現する為の方法を考えていく
Howツリーは、特定の問題に対して、どのような対策を講じれば良いのかを検討するために用いられます。「どのように?」という問いを繰り返すことで、具体的な解決策を導き出すことができます。
問題に対する解決策を導き出したり、多様な視点からの解決策を検討したりして行動計画を立てる際に有効です。
活用例としては、「新商品の開発」や「新規事業の立ち上げ」「業務効率化」等が挙げられます。
Whatツリー(要素分解)
△会社の売上向上を実現する為の手段として、「新規顧客獲得」「既存顧客の単価アップ」「コスト削減」などの手段を細分化していく
Whatツリーはある物事を構成する要素を網羅的に把握するために用いられます。「何が?」という問いを繰り返すことで、全体像を把握しやすくなります。
全体像を把握したり、要素間の関係性を明確したりして漏れなく網羅的に分析することが出来ます。
活用シーンとしては「プロジェクトのスコープの定義」や「業務の洗い出し」「市場の分析」等が挙げられます。
KPIツリー
△営業成績を上げるための「成約数を増やす」「商談件数を増やす」「成約率を上げる」などに分け、細かいKPIを設定していく
KPIツリーは、最終目標であるKPI(重要業績評価指数)を達成するために、どのようなKGI(重要目標達成指標)を設定すべきかを可視化するロジックツリーです。
目標達成のための指標を明確にしたり、各指標間の関係性を可視化したり、目標達成に向けた施策を立案する手段に最適です。
活用シーンとしては「売上目標達成」や「コスト削減」「顧客満足度向上」等が挙げられます。
3. ロジックツリーを活用するメリット
ロジックツリーは、ビジネスシーンにおいて様々な場面で活用できる強力なツールです。単に問題を解決するだけでなく、組織全体のレベルアップにも貢献します。
1. 問題解決力の向上
- 複雑な問題の構造化: 複雑な問題を要素に分解し、構造を可視化することで、問題の全体像を把握しやすくなります。
- 根本原因の特定: 問題の表面的な原因だけでなく、根本的な原因を特定し、効果的な対策を講じることができます。
- 多角的な視点からの分析: 異なる視点から問題を分析することで、新たな解決策を発見することができます。
2. 意思決定の質向上
- 論理的な思考の促進: ロジックツリーを作成する過程で、論理的な思考力が養われます。
- 客観的な判断: 主観的な意見ではなく、データに基づいた客観的な判断が可能になります。
- リスクの低減: 潜在的なリスクを事前に洗い出し、リスクを低減することができます。
3. 組織全体のレベルアップ
- 共通認識の形成: チームメンバー全員が同じロジックツリーを作成・共有することで、共通の認識を持ち、効率的な連携が可能になります。
- コミュニケーションの円滑化: 異なる視点を持つメンバー同士でも、ロジックツリーを基に議論することで、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。
- 社員の育成: ロジックツリーの作成を通して、社員の論理的思考力や問題解決能力を高めることができます。
4. その他のメリット
- 創造性の向上: 新しいアイデアを創出するためのヒントを得ることができます。
- プレゼンテーション資料の作成: ロジックツリーをベースに、分かりやすいプレゼンテーション資料を作成することができます。
- 記録・保存: ロジックツリーを記録・保存することで、過去の分析結果を振り返り、今後の活動に活かすことができます。
4. ロジックツリー作成のポイント
ロジックツリーの作成は、問題解決や意思決定を効率的に行う上で非常に有効な手法です。より効果的なロジックツリーを作成するために、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 目的を明確にする
- 何のためにロジックツリーを作成するのか: 問題解決、意思決定、アイデア出しなど、目的を明確にすることで、ツリーの構造や深さが変わってきます。
- 達成したいゴール: 最終的にどのような状態にしたいのか、ゴールを具体的に設定することで、ツリーの根幹を固めます。
2. MECEの原則を守る
- Mutually Exclusive Collectively Exhaustive: 要素が重複することなく、かつ全体を漏れなく網羅している状態を指します。
例: 「商品の売上減少の原因」というテーマでロジックツリーを作成する場合、「価格競争力がない」「品質に問題がある」「認知度が低い」「販売チャネルの不十分さ」といった要素はMECEの原則に沿っています。
3. 要素の分解レベルを統一する
- 深さ: 全ての要素を同じレベルまで分解することで、比較しやすくなります。
- 粒度: 要素の粒度を揃えることで、全体像を把握しやすくなります。
4. 視覚化を心がける
- 図や表: 図や表を活用することで、複雑な関係性も視覚的に分かりやすく表現できます。
- 色分け: 異なる要素を色分けすることで、より分かりやすく整理できます。
5. 継続的に見直す
- 柔軟性: 環境の変化に合わせて、ロジックツリーを定期的に見直し、修正していくことが重要です。
- 改善: 新たな情報や視点を取り入れることで、より良いロジックツリーに改善していくことができます。
6. チームで共有する
- 共通認識: チームでロジックツリーを作成・共有することで、共通の認識を持ち、より効果的な議論を進めることができます。
- 多様な視点: 異なる視点を持つメンバーからの意見を取り入れることで、より良い解決策を見つけることができます。
7. ツールを活用する
- 効率化: Excel、MindMeisterなどのツールを活用することで、効率的にロジックツリーを作成することができます。
- 視覚化: ツールによっては、より美しい図を作成できるものもあります。
8. シンプルに
- 複雑化させない: あまりにも複雑なツリーになると、かえって分かりづらくなってしまいます。
- 本質を捉える: 本質的な問題に焦点を当て、シンプルにまとめることが大切です。
5. ロジックツリー作成ツールとサービス
近年では、専用のソフトウェアだけでなく、GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメントなど、無料で手軽にロジックツリーを作成できる機能が充実しています。
その他、ロジックツリーの作成を効率化し、視覚的に美しい図を作成できるツールやサービスもあるため、代表的な3つのツール・サービスをご紹介します。
Lucidchart
Lucidchartは、ダイアグラム作成ツールとして非常に人気が高く、ロジックツリーはもちろん、フローチャート、ワイヤーフレームなど、様々な図を作成することができます。
- 特徴:
- 直感的な操作性で、誰でも簡単に利用できる
- クラウドベースなので、どこからでもアクセス可能
- チームでの共同編集がスムーズに行える
- 多彩なテンプレートが用意されている
- メリット:
- ロジックツリー以外にも様々な図を作成できるため、幅広い用途に活用できる
- 高度な機能も備えているため、複雑な図も作成可能
XMind
XMindは、マインドマップツールとして知られていますが、ロジックツリーの作成にも適しています。
- 特徴:
- マインドマップとロジックツリーの両方をサポート
- 自由度の高いレイアウトで、個性的な図を作成できる
- 豊富なテーマやスタイルが用意されている
- メリット:
- マインドマップとロジックツリーをシームレスに連携させることができる
- アイデア出しからロジックツリーの作成まで、一貫して行える
Microsoft Visio
Microsoft Visioは、ビジネス図の作成に特化したソフトウェアです。
- 特徴:
- 業務フロー、組織図、ネットワーク図など、様々な図を作成可能
- Excelデータとの連携がスムーズ
- 高度なカスタマイズ機能が充実している
- メリット:
- ビジネスシーンで広く利用されており、互換性が高い
- 業務効率化に役立つ様々な機能が搭載されている
6. まとめ
この記事では、ロジックツリーが持つ問題解決や意思決定を支援する強力な力を紹介しました。ロジックツリーを活用することで、複雑な問題を構造化し、根本原因を特定し、効果的な解決策を導き出すことができます。また、組織全体のレベルアップにも貢献し、社員の育成にも役立ちます。
ロジックツリーの種類や作成のポイント、そしておすすめのツールまで、具体的な情報を盛り込みながら解説しました。この記事を参考に、ぜひご自身の業務やプロジェクトにロジックツリーを取り入れてみてください。
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