賃上げする中小企業向け|2024年の補助金・助成金10選と節税・昇給のコツ
「物価高を上回る所得増」を目標に掲げる日本政府は、中小企業の賃上げのための様々なサポートを実施しています。2024年6月には「中小企業省力化投資補助金」の第一回公募が開始され、人手不足解消の一手として有効な「従業員の昇給」を後押ししています。
補助金・助成金の申請サポート実績が全国1万社以上のJコンサルが、従業員の賃上げを検討中の中小企業の皆様に向けてお得な情報をまとめました。
1.物価高の今、賃上げをするメリット
物価高騰により生活費が上昇している2024年現在、優秀な人材を確保するためには賃上げが欠かせません。厚生労働省が実施した成年者縦断調査では、退職を経験した正社員の約31%が、給与・報酬を不満に離職しているという結果が出ています。
賃上げは離職率を低下させるのに効果的であり、安定した労働力と競争力の維持に欠かすことのできない要素です。
「賃上げしたいけど、お金はどうする…?」とお悩みの中小企業経営者の方々に向けて、2024年に実施されている賃上げの為の支援制度について解説します。
賃上げ促進税制
中小企業では、全雇用者の給与等支給額の増加額の最大45%を税額控除する賃上げ促進税制の対象となります。
賃上げ率に応じた法人税の減免措置が適用されるには、「基準年度と比較して一定の賃上げを実施すること」「賃上げと併せて一定の設備投資を実施すること」などの要件があり、賃上げ率が高いほど税制優遇の幅が大きくなる制度です。
賃上げと同時に、最新の設備投資を実施して業務効率や生産性のアップなどに取り組みたい中小企業にうれしい税制措置となります。※詳しくは中小企業庁HPをご確認下さい。
補助金・助成金制度の充実
「賃上げ促進税制」を活用するためには、企業の稼ぐ力を向上させるための設備投資の実施が必須条件となっています。
2024年現在、設備投資に使える返済不要の補助金・助成金制度も多数用意されており、最大受給額は50億円・受給率は最大75%と非常にコスト削減効果抜群の支援制度です。
2.【2024】賃上げに使える補助金・助成金10選
業務改善助成金
業務改善助成金は、賃金の引き上げを行う中小企業や小規模事業者を対象に、賃金引き上げに必要な設備投資や業務プロセス改善のための費用を助成する制度です。具体的には、以下のような支援内容があります。
- 対象経費:設備投資費、研修費、外注費など
- 助成率:最大10分の9
- 上限額:600万円(賃上げ額に応じて異なる)
中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金は、中小企業が省力化を目的として導入する設備やシステムに対して助成を行う制度です。人手不足を補うための自動化・省力化技術導入を促進します。
- 対象経費:IoT機器、ロボット、AIシステムなどの導入費用
- 助成率:2分の1以下
- 上限額:1500万円
中堅・中小成長投資補助金
中堅・中小成長投資補助金は、成長意欲のある中小企業が行う設備投資や人材育成に対して助成を行う制度です。企業の成長を支援し、賃上げを実現するためのサポートを提供します。
- 対象経費:設備導入費、人材育成費、マーケティング費用など
- 助成率:3分の1以内
- 上限額:50億円
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が行う販路開拓や業務効率化のための取り組みに対して助成を行う制度です。持続的な経営を支援し、賃上げを通じて企業の成長を図ります。
- 対象経費:広告宣伝費、展示会出展費、設備導入費など
- 助成率:3分の2
- 上限額:200万円(特例措置で100万円の場合もあり)
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用から正規雇用への転換や賃上げを支援するための助成金です。人材の定着とスキルアップを促進し、企業の成長をサポートします。
- 対象経費:賃金アップ、正社員転換時の給与増加分など
- 助成率:定額
- 上限額:最大80万円(1人あたり)
働き方改革推進支援助成金
働き方改革推進支援助成金は、労働環境の改善や働き方改革を推進する中小企業を対象に助成を行う制度です。賃上げを伴う取り組みを支援し、労働生産性の向上を目指します。
- 対象経費:労働時間短縮、テレワーク導入費用、健康管理施策費用など
- 助成率:最大4分の3
- 上限額:最大200万円
中途採用等支援助成金
中途採用等支援助成金は、中途採用を行う中小企業に対して助成を行う制度です。新たな人材の確保とともに賃上げを支援し、企業の競争力を高めます。
- 対象経費:採用活動費、賃金引き上げ費用など
- 助成率:ポイント制
- 上限額:100万円
産業雇用安定助成金
産業雇用安定助成金は、雇用維持や転職支援を目的とする助成金です。賃上げを含む雇用安定化の取り組みを支援し、企業の人材確保を促進します。
- 対象経費:雇用維持費、転職支援費用など
- 助成率:最大10分の9
- 上限額:10万円(1人あたり)
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業がITツールを導入する際の費用を助成する制度です。業務効率化と賃上げを同時に実現するための支援を提供します。
- 対象経費:ソフトウェア購入費、クラウド利用料、IT機器導入費用など
- 助成率:最大2分の1
- 上限額:450万円
3.中小企業の昇給率の平均は?
日本商工会議所の標記調査では、中小企業の賃上げ状況に関する調査結果を発表し、2024年度に「賃上げを実施予定」とする企業は74.3%、2024年4月時点で23年4月と比べた正社員の賃上げ率は加重平均で3.62%でした。
賃上げ促進税制では、給与等支給額の+1.5~2.5%上昇が求められるため、賃上げを実施した多くの企業が賃上げ促進税制を活用していると予測できます。出典|日本商工会議所「中小企業の賃金改定に関する調査」
4.昇給の査定項目
昇給には、定期昇給と随時昇給があります。
定期昇給は、毎年一定の時期に行われる昇給で、昇給のタイミングと金額が予測可能であり、社員にとって生活設計がしやすく、全社員が同じ基準で昇給するため、公平感があります。
随時昇給は、社員の成果や能力に応じて適宜行われる昇給で、高い業績を上げた社員に対して迅速に報いることで、モチベーションの向上につながり、企業の経営状況に応じて昇給を行うため、柔軟な対応が可能です。
一般的な昇給額の査定項目を参考に、自社の規定を見直してみましょう。
業績評価
業績評価は、社員の業績や目標達成度に基づいて昇給を決定する評価方法です。具体的には、売上高や生産性、プロジェクトの成功などが評価対象となります。
明確な目標設定、定量的な評価、定期的なフィードバックを行い、個人だけではなくチーム全体の成果も評価に含めることで、協力的な職場環境を維持することにつながります。
能力評価
能力評価は、社員のスキルや知識、業務遂行能力に基づいて昇給を決定する方法です。専門的な資格取得や研修の成果も評価に含まれます。
スキルマトリクスの活用・資格取得や研修の奨励・日常業務での成果の見える化などで、評価基準や方法を定期的に見直し、最新の業務内容や技術に適応させながら運用すると良いでしょう。
情意評価
情意評価は、社員の勤務態度、協調性、リーダーシップなど、仕事に対する意欲や態度を評価する方法です。職場の雰囲気づくりやチームワークへの貢献も重要な評価ポイントとなります。
主観的な判断にならないよう、具体的な行動基準を明確にし、上司だけでなく、同僚や部下からの評価や日常的な勤務態度、行動を継続的に観察する必要があります。
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